研究の仕上げ
黒田氏は大手印刷会社の元研究者で、印刷分野での技術的な課題分析などを手がけてきた。京都工繊大の伝統みらい教育研究センターでは伝統技術の分析結果をもとに、匠の技の数値化・明文化に取り組んでいる。
たとえば京壁の研究では、土壁を塗る際の職人の動作もモーションキャプチャー(人などの動きをデジタル化して記録する技術)で解析。塗る際の体の動きも上質な壁づくりに関係していると推測し、分析している。
長い歴史の中で培われた伝統技術の科学による解析。黒田氏は「日本人が大切にしてきた感性に潜む秘密を解き明かしていきたい」と話し、最終的には「勘」や「手応え」など暗黙知にあふれた技術の秘密を現代のものづくりにも生かせるようにしたいという。