人口増、武蔵小杉に見る利点と弊害 朝のJR改札 行列60メートル、駅舎飛び出す (1/4ページ)

早朝の通勤時間帯は駅舎の外まで改札待ちの人が連なる=JR武蔵小杉駅新南口
早朝の通勤時間帯は駅舎の外まで改札待ちの人が連なる=JR武蔵小杉駅新南口【拡大】

  • 超高層マンションが林立する武蔵小杉駅周辺=川崎市

 冬の早朝、川崎市中原区の武蔵小杉駅周辺では夜も明けきらないうちから、スーツを着た会社員たちの慌ただしく歩く姿が見かけられた。見上げると、林立する高層マンションが朝日を浴びて銀色に輝いている。日が高くなるにつれ、高層マンションは住人を吐きだし始める。向かうのはJR・東急線の武蔵小杉駅。通勤時間帯の午前7時を回るころには、人の波がうねりのように押し寄せる。

 JRの新南口はマンション群に近く、人の流れが特に著しい。改札は人をさばききれず、入場待ちの列がどんどん伸びていく。ピークは午前8時前後。行列は50~60メートルに達し、駅舎を飛び出してマンションの出入り口付近にまで及ぶ。武蔵小杉駅周辺で日々繰り返されている光景だ。

 加速する再開発

 人口増を背景に川崎市はいま、ダイナミックに変貌を遂げている。川崎駅(川崎・幸)、登戸駅(多摩)、鷺沼駅(宮前)周辺など各区で再開発が進む中、武蔵小杉エリアは、市の発展をうらなう開発の先行例として注目されている。同エリアは多摩川や等々力緑地などの自然の魅力と、都心や横浜へのアクセスの良さから、人口流入が続いている。その受け皿になっているのが高層マンション群だ。

 市によると、同エリアには高さ100~200メートルのいわゆる「超高層マンション」が9棟ある(12月現在)。1棟あたりの戸数は500~600程度。市は1戸3人の計算で1500~1800人が生活していると見積もる。9棟には合計で、少なくとも万単位の人が住んでいるのだ。

単純計算でもあと1万人程度の増加