胎児の発育不全や流産などの原因となり、母体の意識喪失など命の危険にもつながる「妊娠高血圧症候群」について、群馬の上武大学医学生理学研究所の渋谷正史所長は14日、短時間で安価に血液診断する方法を開発したと明らかにした。8月に特許申請し、既に臨床的にも活用できることを確認しているという。
妊娠高血圧症候群は、妊婦の約5%が発症し、重症化すると母子ともに命の危険にさらされることもある。血中の特定タンパク質「sFlt-1」の濃度が通常より高くなることが原因とされている。妊娠25~30週以降、血中濃度が徐々に高くなり、その後、高血圧やタンパク尿などの症状が現れ、早期発見が重要という。
渋谷所長は、これまで大がかりな機械を必要だった血液診断を簡素化。機械を使わず、血液を試薬に混ぜるだけでsFlt-1の濃度を測定する方法を開発した。費用は3分の1程度に抑えられ、数日かかることもある所要時間も1~2時間に大幅短縮させた。
今後、症状が現れる前に血中の異常が探知できれば、重症化を防げるとし、渋谷所長は「企業とタイアップしながら、クリニックでも簡単に診断できるようにしていきたい」などと話している。