なぜ分別のある大人なのに耐えられない? キレる中高年が増加、「IT化」との関連も (1/7ページ)

 分別があっていいはずの中高年にキレる人が増えている。その原因として何が考えられるのか? 急ピッチで研究が進められている脳科学分野から、怒りのメカニズムと、それを静める方策を解明する。

 あなたのアタマの中では何が起きているのか?

 まず、グラフ(図1)を見ていただきたい。警察庁の調べによると、2013年の暴行検挙者数は、なんと40~49歳が最も多いのだ。04年と13年を比べた伸び率も40~49歳は高い。帰宅途中の電車内で押されたとか、肩がぶつかったとかでほかの乗客と揉め事を起こしたり、電車の遅延に対して駅員に詰め寄ったり……。そんな中高年の醜態が目立つのは、決して気のせいではない。

(図1)爆発的に増えたキレる中高年 出所:警察庁「平成25年の犯罪情勢」より暴行の年齢別検挙人員(図2)前頭前野の活動低下で扁桃体が怒りを爆発 ※取材などをもとに編集部で作成

(図1)爆発的に増えたキレる中高年 出所:警察庁「平成25年の犯罪情勢」より暴行の年齢別検挙人員(図2)前頭前野の活動低下で扁桃体が怒りを爆発 ※取材などをもとに編集部で作成

 では、分別のあるはずのいい大人が、なぜキレてしまうのだろう。それを解くカギの一つが脳のメカニズムにあって、「怒りに密接に関わるのが、脳の中心部にある大脳辺縁系の中の扁桃体です」と精神科医の西多昌規氏は説明する(図2参照)。

 「扁桃体は恐怖や不安、緊張などに反応します。心理的には、自分の思うようにならないときに怒りが生まれます。渋滞にはまったりすると、だんだん機嫌が悪くなる。仕事でも対人関係でも同じで、その程度が大きくなると怒りにつながります」

 この扁桃体は、睡眠不足によっても過剰反応する。「寝不足だと扁桃体が活性化する一方で、扁桃体と神経で結ばれていて、その活動を抑制する前頭前野の機能が低下します。その結果、扁桃体が怒りに“ハイジャック”されるわけです」(西多氏)。

キレる背景にはIT化との関連も

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