■「促進的対話」を強く主張
フィジーがCOP23の議長国に立候補するまでには、考え抜いた戦略がありました。COP23の焦点は、なんといっても“パリ協定のルールづくりの進展”。しかし、フィジーがルールづくりと並行して力を入れているのが、「促進的対話」と呼ばれるパリ協定の各国目標を引き上げるための対話の準備です。
促進的対話は、2018年のCOP24に向け年間を通じて行われることになっています。そのため、今回のCOP23で促進的対話では何をするのか計画を立て、きちんと準備する必要がありました。促進的対話はフィジー(小島しょ国連合)と世界の市民社会が一致協力して、これまで強く主張してきた論点で、パリ協定に各国が提出している国別目標が、いわゆる“2℃目標”の達成には全く足らない状況を何とかしたいとの思いから始まっています。
2018年に建設的かつ創造的な国際的対話を促し、2020年までに再度目標を提出することが決まっています。各国が目標を引き上げるような促進的対話になることを期待しています。
そもそもパリ協定が、世界の平均気温の上昇幅を産業革命前に比べて2℃未満に抑えることを長期目標として掲げる中、「1.5℃に抑える努力をする」という一言を入れ込んだのも、小島しょ国連合の強い働きかけによるものでした。「2℃未満でも小島しょ国には耐えられない影響が出るため、気温上昇は1.5℃未満に抑えるべき」という強い主張を繰り広げ、COP21(パリ協定を採択)での交渉の最終局面で、EUやその他の有力国と同盟を結ぶことによって、自らの主張を通すことに成功しました。