■小島しょ国の立ち位置
気候変動に関する国連の国際交渉はこれまで30年近く行われており、通常は米国や欧州連合(EU)、中国といった大国の意向が交渉の行方を左右します。その中で小島しょ国は懸命に温暖化の深刻さを訴えてきましたが、往々にしてその声は大国の利害の前にかき消されがちでした。
しかし、小島しょ国に対して、世界の市民社会や研究機関が専門的知見を提供し、交渉のための人材を提供するなどして支援しました。また、EUなど一部の先進的な国々が、小島しょ国とさまざまな思惑から同盟を結成するようになりました。小島しょ国連合は小さな国の集まりながら、気候変動の国際交渉で次第にその主張を反映できるようになりました。
それが端的に表れたのが、フィジーがドイツ政府の支援を受けながら、COP23の議長国を務めるまでになったことです。議長国になることには大きな意義があります。どの国も議長国の顔をつぶすことはしたくないからです。ましてや温暖化の被害に最も苦しむ国の1つであるフィジーの主張を無視することは、国際的な評価を落とすことにもつながるため、どの国も表向きは議長国を立てようとします。実際COP23を前にドイツで開催されたPreCOP(COP準備会合)では、各国がフィジーの主張に支持を表明しました。