◆「働き方改革は茶番だと言い続けて…」 識者の本音
上に挙げた「睡眠負債」について、西野氏は日本人の働き方にも影響を与えるからこそ、注目を浴びたと述べた。ならば、その根幹である「働き方改革」の関係者はどうか。『「働き方改革」の不都合な真実』(イースト・プレス)著者の常見陽平氏(おおたとしまさ氏との共著)はどう思うか。常見氏は新語・流行語大賞のノミネート語のベースとなっている『現代用語の基礎知識』(自由国民社)の一著者でもある。
「今回、私が『現代用語の基礎知識』で執筆を担当した『働き方事情』のページから3つノミネートされており(他は「プレミアムフライデー」と「人生100年時代」)、そちらの感動の方が大きいですね。それだけ2017年は『働き方』が話題となった年だったと思います。もっとも、私は特に『働き方改革』や『プレミアムフライデー』に関しては、その茶番というか、問題点を指摘し続けてきており。みんながこれを素晴らしいと感じたからではなく、モヤモヤしているからノミネートされたのではないかと思っていますし、むしろその方がまともだと考えています。『働き方改革』や『プレミアムフライデー』がもし受賞した場合、それによってこれらが『上手くいっていることになっている』とされた場合は、嫌だなあと思います」
今回のノミネートで常見氏と版元は何らかの準備はしているのだろうか?
「取り急ぎ、キーワードが入ったことは、関連した書籍の編集者には伝えました。僕が受賞者だろうと、無かろうと、書籍には注目が集まると信じています」(常見氏)
◆「ワンオペ育児」ノミネートに関係者苦笑
そして、3つ目は仕事・育児・家事を一人でまわすことを意味する「ワンオペ育児」だが、『育児は仕事の役に立つ 「ワンオペ育児」から「チーム育児」へ』(浜屋祐子・中原淳著/光文社新書)編集者の樋口健氏も西野氏、常見氏と同様にノミネートされた言葉が広がった状態こそ良くないと認識しているようだ。
「できれば『ワンオペ育児』が流行語にならない世の中になってほしいです。ただ、社会における育児・保育の現状を知ってもらうには、良いきっかけになるかもしれません。去年は『保育園落ちた日本死ね』がトップテンに入っていましたが、そういう強い言葉、キツい言葉ばかりがもてはやされることがイヤで、本書のサブタイトルに『チーム育児』という言葉をきちんと入れた経緯もあります。