今年の流行語候補、関係者らの本音 「モヤモヤする」「やっぱりか」…複雑な胸中明かす (2/4ページ)

“流行語大賞2016”の授賞式で「神ってる」顔をしてみせた広島の鈴木誠也
“流行語大賞2016”の授賞式で「神ってる」顔をしてみせた広島の鈴木誠也【拡大】

◆「睡眠負債」ノミネートに関係者は…

 こうした前提をあげたうえで、まずは「睡眠負債」から。これは、人生において睡眠の不足時間が「負債」のように積み重なり、パフォーマンスが低下するだけでなく生活習慣病、癌や、認知症等様々な疾患に繋がる恐れがあると解明されたもの。6月にNHKスペシャルで『睡眠負債が危ない ~“ちょっと寝不足”が命を縮める~』と題して放送され、話題となった。同番組に出演し、30万部超のベストセラー『スタンフォード式最高の睡眠』(サンマーク出版)著者でスタンフォード大学教授の西野精治氏はこう語る。

 「私達は人々に不安を煽るために、この言葉を提唱したのではなく、国民が睡眠管理により健康になってほしいと希望を込めて提唱しました。このためには、人々が睡眠衛生に関心を持つのはもちろんですが、いかに睡眠を削らないようにするためには、自他共に、働き方、時間の使い方を再考する必要があると思っています。

 日本人は他人のモノは取りませんが、平気で他人の時間を奪います。これを改善しないうちは、個々の個人で充分な睡眠時間の確保は難しいと思います。私が睡眠本で提唱した、『睡眠の質をあげ、睡眠負債を減らす』というのは苦肉の策であり、根本解決にはなりません。働き方、時間の使い方の改革により、余った時間は睡眠も含め、個人が好きな事に使えば良いと思っています。そうすることにより、国民全体が豊かで健康になると思います」(西野氏)

 そのうえで、これまで「睡眠不足」では危機感が伝わらず、「睡眠負債」で危機感が伝わった理由をこう語る。

 「責任感が増し、仕事の負荷が増える40代からの働き盛りの人達には言葉の響きに共感され、このままでは破綻するのではという危機感が広がったのではないでしょうか」

 ならば、「睡眠負債」と関係した企業はこのノミネートに前のめりになっているのかも聞いた。西野氏と関係の深い寝具メーカー・エアウィーヴの広報担当者にキャンペーンの実施や販促強化などについて聞くと控えめな答えが来た。

 「当社が睡眠研究をお願いしているスタンフォード大の西野教授が提唱しはじめた概念だけに、その概念が広がり、睡眠の重要性に注目が集まったのは喜ばしいことです。しかし、トップ10を取れたわけでもないですし、ノミネートの段階で騒ぐのは、取れなかった場合のことを考えるとカッコ悪いので特にまだ何も考えておりません。ただ、睡眠負債については弊社も取り組んでいたので、ノミネートしていただいただけでも充分にありがたいことです」

「働き方改革は茶番だと言い続けて…」 識者の本音