なぜ「目隠しレストラン」が人気なのか 感覚研ぎ澄ます「食」に連日満席 (2/3ページ)

 そのフードイズムが次に着目したのは熟成肉。12年に、六本木で焼き肉店「旬熟成」をオープンし、これも予約が取りにくいほどの人気店になった。

 日本ではこれまで、サシが入った霜降りの牛肉が理想で、神戸牛、松阪牛といった銘柄が高級とされてきた。しかし、欧米では赤身の熟成肉が主流。よく「肉は腐りかけがうまい」と言われるが、硬い赤身の牛肉を、熟成させて軟らかくして食べる技術が欧米で発達した。

 近年は日本でも、霜降りとはまた違う赤身の熟成肉の良さが理解され、浸透してきている。脂肪分が少ないのでヘルシー感があり、赤身肉ダイエットまでもが提唱された。ステーキ専門店の「いきなり!ステーキ」はもちろん、最近では牛丼の「吉野家」や「松屋」も、この熟成の技術を取り入れて味の改良をはかっている。

 また、都内の熟成肉の店は過当競争になりつつある。そこで同社は、目隠しをして肉を焼く音を聞きながら料理を楽しむ体験を加えることで、明確に差別化していく戦略に出たのだ。

熟成肉のビジネスで生き残るために、明確な差別化が求められていた(写真は「旬熟成 GINZA GRILL」の熟成肉)

熟成肉のビジネスで生き残るために、明確な差別化が求められていた(写真は「旬熟成 GINZA GRILL」の熟成肉)

想像力を膨らませ、おいしさを倍増させる

 リスニングイーツは、ミニ牛ハンバーガーと前菜3品が出た後に、10~20分の時間で実施する(単品の注文はできない)。スタッフが客に目隠しをした後、ヘッドセットを着用させて熟成肉を口に運ぶ作業を手伝う。

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