政府の働き方改革の推進で定年延長や再就職など高齢者の働く場が拡大する中、高齢者を戦力として活用する取り組みに注目が集まっている。4月28日は日本記念日協会が認定した「アクティブシニアの日」。シニアが職場の“お荷物”にならず実力を発揮するには、本人の意識改革に加え、雇用する側が役割を提供し、働きを評価することが重要だ。(産経新聞社会部 高橋裕子)
「思わずえらそうな態度」
「態度が横柄だ」「パソコンのソフトが使えない」
シニア人材を企業に派遣する都内の会社に派遣先から最も多く寄せられる苦情は、こうした基本的な態度やビジネス技術だという。
同社には現役時代に海外でビジネス経験を積んだ60~65歳の退職者を中心に約3千人が登録。海外進出を見込むベンチャーや中小企業に顧問として派遣されている。複数社との顧問契約を抱える“売れっ子”がいる一方、企業側と面談を繰り返しても成約に至らない人がおり、稼働率は約4割だ。
同社の広報担当者は、その理由を「即戦力を求める経営者に机上のアドバイスしかできなかったり、若い経営者に思わずえらそうな態度を取ってしまったりと、気持ちのすりあわせができていなかった」とみる。
同社では「アクティブシニアの日」となる28日、今春同社に登録した20人を集めて「入社式」を開催、すでに活躍している顧問らが働く心得を講演する。担当者は「少し教えればどんどんできる人が多い。そのきっかけになれば」と狙いを語る。