11日午前5時半ごろ、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域で、海上保安庁の巡視船が遭難通信を受信した。魚釣島北西約67キロの排他的経済水域(EEZ)へ急行し、ギリシャ籍の大型貨物船から事情を聴いたところ、「中国漁船と衝突した。漁船は沈没した」と説明した。巡視船は近くの海上から中国漁船の乗組員6人を救助。6人とも命に別状はないが、うち2人が切り傷を負っているという。
外務省は11日、海上保安庁が中国漁船の乗員を救助したことを中国政府に外交ルートを通じて伝えた。中国側は謝意を表明した。
海上保安庁によると、大型貨物船は「ANANGEL COURAGE」(10万6727トン)で、中国からオーストラリアに向かっていた。乗組員23人(ギリシャ人11人、フィリピン人20人、ウクライナ人2人)にけがはなかった。
中国漁船は「ミンシンリョウ05891」で、揚網作業をしていた。現場周辺に船体は見当たらず、沈没したとみられる。乗組員は14人いたことから、海上保安庁は巡視船8隻と航空機1機で残る8人の捜索・救助にあたっている。
尖閣周辺では5日以降、中国の公船と漁船の動きが活発化しており、海上保安庁が警戒を強めていた。