東京電力福島第1原発事故による県内外への自主避難者について、福島県は15日、災害救助法に基づく避難先の住宅の無償提供を平成29年3月で打ち切ると発表した。28年3月までとしていた期限を1年延長した上で、その後は避難者の所得などに応じて、家賃を補助するなど県独自の支援に移行する。
県は支援策として、県内に帰還を希望する避難者には引っ越し費用を補助するほか、打ち切り後も避難先にとどまる場合、低所得世帯に対しては一定期間、家賃を補助するとした。7月以降、避難先で帰還や生活再建に関する相談会も実施する。
県によると、避難指示区域外からの自主避難者は推計で約2万5千人で、このうち約2万人が県外へ避難している。自治体が民間アパートや公営住宅を借り上げる「みなし仮設」はこれまで無償で提供されており、避難者からは継続を求める声が上がっていた。
内堀雅雄知事は打ち切りの理由として「公共インフラの復旧や復興公営住宅などの整備が進み、生活環境が整ってきた」と説明。その上で「引き続き、避難者の思いを尊重しながら、きめ細かな支援に取り組んでいきたい」と話した。
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【原発事故の自主避難者】 東京電力福島第1原発事故で政府による避難指示が出ている地域以外からの避難者。原発事故で福島県からは県内外に約11万2千人が避難しているが、そのうち自主避難者は推計約2万5千人に上る。放射線による健康への不安から、仕事がある父親を福島に残し県外へ母子避難している世帯が多い。行政による経済的な支援は少なく、福島へ戻る人も増えてきている。