東京電力福島第1原発事故で、東電は20日、事故をめぐる未解明事項の検証結果を公表した。放射性物質が大量に放出したとみられる2号機で、格納容器の破損を防ぐ「ベント(排気)」作業が失敗していたことが、内部の放射線量の調査から裏付けられた。1、3号機ではベントは実施できていたが、2号機での失敗が裏付けられたのは初めて。
2号機は、事故発生から4日後の平成23年3月15日早朝に、原子炉を覆う格納容器が破損。放射性物質の大量拡散の恐れがあったことから、作業員の大半が一時退避した。
直前に、容器内部の圧力が限界に達しており、格納容器から排気筒につながる配管の弁を開けるベントを実施しようとしたが、圧力は下がらなかった。
配管には、ステンレス製の薄い板「ラプチャーディスク」がある。ベントをすれば、このディスクが破られ、放射性物質を含んだ蒸気が通る。
しかし、東電がロボットを使って線量を測定した結果、ディスクの周囲に高い放射線量は測定できなかった。ディスクは破られておらず、ベントが失敗した可能性が高まったという。
ディスク自体の状態はまだ確認できていない。東電は「得られた成果や教訓を今後の廃炉作業や原発の安全対策に生かしたい」としている。
福島第1原発の事故原因については、東電も調査報告書をまとめているが、未解明の事項が52件あるとして、順次、調査結果を公表。3回目となった今回の報告では、4件を抽出した。