原子力規制委員会は17日の定例会で、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)について、事実上の合格証となる「審査書案」を了承した。30日間の意見公募(パブリックコメント)にかけて、年明けに確定する。再稼働は地元の同意を得て、来春以降の見込みとなる。
現在計14原発21基の審査申請が出ているが、規制委が審査書案を了承したのは、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)に続く2カ所目となる。
審査書案(約430ページ)は、「施設の設計基準」と「重大事故対策」と大きく2つに分かれて記載。地震や津波、竜巻などの自然現象や炉心が損傷した場合などに対する関電の安全策について、規制委の評価が記された。
焦点となっていたのは、基準地震動(想定される最大の揺れ)の設定で、関電は周辺活断層の連動を考慮して、当初の550ガルから700ガルに、基準津波(想定される津波の高さ)も2.6メートルから6.2メートルへと引き上げた。
放水口に海抜8メートルの防潮堤を設置するなどの追加対策が認められ、審査書案では、高浜原発が新規制基準に「適合しているものと認められる」と結論付けた。
規制委は来年2月にも審査書を完成させた後、機器などの設計内容を記した「工事計画認可」と、運転管理体制を確認する「保安規定変更認可」の審査に移る。
事故に備えて避難計画を策定する半径30キロ圏内に滋賀県や京都府の自治体も含まれるため、地元同意の範囲や手続きの進め方も焦点となりそうだ。