人工クレーター
探査のハイライトは小惑星内部の物質採取だ。まず上空で探査機の底部から衝突装置を分離。探査機が小惑星の裏側に退避した後、装置を高度数百メートルで爆発させる。この衝撃で銅製の弾丸を秒速約2キロで地表に激突させ、深さ数十センチのクレーターを人工的に作り地下の物質を露出させる。
その後、探査機がクレーターに接近。底部にある筒状の装置が地表に触れた瞬間、再び弾丸を発射。舞い上がった粒子を装置に取り込み、帰還用のカプセルに収める。
地表付近の物質は宇宙線や太陽光の影響を受けて変質しているが、この方法により、約46億年前の小惑星形成時の状態を保っている物質を採取する。
地表の物質採取を狙った初代はやぶさはプログラムのミスで弾丸発射に失敗し、ごくわずかな微粒子しか回収できなかった。今回は同じ方法で地表での採取にも再挑戦し、計1グラム程度の回収を目指す。