電通の鬼十則「殺されても放すな」 社員手帳への掲載取りやめへ
新入社員の高橋まつりさん=当時(24)=が昨年12月に過労自殺した問題を受け、大手広告会社の電通が、《取り組んだら「放すな」、殺されても放すな》などの言葉が記されている「鬼十則」について、社員手帳への掲載の取りやめを検討していることが17日、分かった。
鬼十則は、電通の4代目社長の吉田秀雄氏が昭和26年に作った遺訓とされ、仕事への心構えが日本語と英語で10項目ある。他には《周囲を「引きずり回せ」》《頭は常に「全回転」、一分の隙もあってはならぬ》などの表現が並んでいる。
過労体質への企業風土を象徴するものとして、高橋さんの遺族側が削除を求めてきた。電通関係者によると、来年分の手帳に、鬼十則の掲載を控える方向で検討しているという。
電通の30代男性社員は「鬼十則は新人研修のときにテキストに入っていて、社会人として仕事に向かう姿勢を学んだ。なくなることで、仕事への意識が弱まることを恐れている」と話した。
電通広報部は「今月発足した労働環境改革本部を中心に全社的な変革を進めている。『鬼十則』の取り扱い方も含め、企業風土全体の改善に向けた検討を進めている」とコメントした。
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