電通の女子社員過労自殺、厚労省が子会社も立ち入り検査 電通社長は「全館10時消灯」と通達
大手広告代理店の電通に勤めていた高橋まつりさん=当時(24)=が過労自殺した問題で、厚生労働省は18日、電通の子会社5社にも立ち入り調査したことを明かした。塩崎恭久厚生労働相は同日の閣議後会見で、「過去にも長時間労働に伴う自殺者を出した電通で再び自殺に追い込まれる事態が出た。極めて遺憾なケースだ。実態を徹底的に究明したい」と述べた。
厚労省によると、立ち入り調査したのは、電通の子会社である電通東日本(東京都港区)、電通西日本(大阪市北区)、電通九州(福岡市中央区)、電通北海道(札幌市中央区)、電通沖縄(那覇市)。
すでに電通の東京本社と名古屋、大阪、京都の3支社を抜き打ちで立ち入りしており、厚労省は全社的な労働実態の解明に乗り出している。
残業時間の上限については、厚労省告示で限度と定められた月45時間を超えて労使協定を結んでいたことが判明した。
遺族側弁護士によると、高橋さんは平成27年4月に電通に入社し、同年12月25日に都内の女子寮から投身自殺した。三田労働基準監督署(東京)は、残業が月105時間あり鬱病を発症していたと判断し、労災認定していた。
これを受けて、電通の石井直(ただし)社長は、残業を減らし労務管理の方針を刷新するとした緊急メッセージを全社員に発した。これを受け、電通は社員の帰宅を促すため24日から午後10時に全館を消灯することを決めた。
社長のメッセージは17日に配信。「違法であることが指摘されている現状を改善するため」として、労務管理を月間から日次に変え、最長で法定外月間50時間(所定外70時間)の残業上限を45時間(同65時間)に引き下げる。私的な情報収集などの理由による在社も禁止した。電通関係者によると、石井社長は「社の経営の一翼を担う責務を負っている者として慚愧(ざんき)に堪えない」とした上で、「今私たちには具体的な行動を起こすことが求められている」と記していたという。
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