中国の金メダル激減なぜ? 選手“金至上主義”に変化、ネット反応は皮肉目立つ

 

 【リオデジャネイロ=中村将】リオデジャネイロ五輪の中国選手の金メダル獲得ペースに、ロンドン大会(2012年)や北京大会(08年)のような勢いがみられない。16日現在、首位の米国に大きく水をあけられ、英国にも及ばず、3位となっている。着実に獲得数を伸ばしてはいるものの、“ゴールドラッシュ”とはいかず、終盤に向けてどれだけペースが上がるかに注目が集まる。

 金メダル獲得数は同日現在、米国が28個、英国が19個、中国は17個。米英は日程を消化するごとに、ロンドン大会とほぼ同じペースで獲得しているが、中国は約半分のペース。北京大会では参加国の中で最多の51個、ロンドン大会でも米国に次ぐ38個の「金」を獲得した中国にしては、あまりにスローペースといえる。

 競泳でみると、中国はロンドン大会では金5個、銀2個、銅3個を獲得したが、リオでは金1個、銀2個、銅3個という結果で、金だけが大幅に減った。ロンドンでは金4個を獲得した体操もリオではメダル無しだった。

 中国国営の新華社通信はリオ発で15日、高志丹・中国国家体育総局副局長が「われわれは五輪でかつてない挑戦と困難に直面しているが、われわれの自信は一向に減ることはない」と述べたと報じ、予想外の展開を認めた。北京紙「新京報」(電子版)は「中国は伝統的に前半戦に『金』を取れる種目が多く、これから金メダルを取る機会は減ってくる。逆に英国は後半戦でも金メダルを期待できる種目がある」とし、危機感を募らせている。

 金獲得ペースが上がらない理由について、技術的な解説をする報道はないが、ロイター通信は序盤の9日、「『金メダル至上主義』だった中国に意識の変化があらわれた」とし、競泳女子100メートル背泳ぎで銅メダルだった傅園慧が「まったく悪い結果ではない。1位にはなれなかったが、これまでの自分を超えられたことに満足している」と語ったことを紹介した。

 一方、短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」には「今年(の五輪)はひどすぎる」「金メダルを取らなかったということは旅行に行ったの?」「スポーツは平和時においての戦争だ。わが国の準備やスタイルが前時代的であるということだ」といった書き込みが目立ち、ユーザーの「金」へのこだわりも浮き彫りになっている。