南海トラフの「長周期地震動」 三大都市圏で顕著 内閣府が初想定
南海トラフで想定される巨大地震に伴う「長周期地震動」について内閣府の検討会は17日、揺れや建物への影響を試算した初の想定を公表した。揺れは大阪などの三大都市圏で顕著で、超高層ビルの最上階では最大で毎秒2・5メートル、幅は片側で3メートルに達すると推計。事業者などに防災対策の強化を求めた。
南海トラフで過去に起きた大地震の震源断層がすべて動くマグニチュード(M)9級の最大級の地震を想定。周期2~10秒でゆっくりと揺れる長周期地震動の影響を分析した。
地表で毎秒5センチ以上の揺れが3分以上続く地域は地盤が軟弱な東京や千葉、名古屋、大阪周辺に集中。神戸市と大阪市の沿岸部では6分40秒以上続くとした。
揺れが最も大きいのは大阪市此花区などで、高さ約300メートルの超高層ビルがある場合、最上階で毎秒2・5メートルに達する。国が平成24年にM8級の南海地震について試算した揺れと比べ、約7割大きくなった。
振れ幅が最大となるのは同市住之江区で全幅6メートル。同区には大阪府咲洲庁舎(高さ256メートル)がある。高層ビルが倒壊する揺れは模擬実験で毎秒4・2メートルとされており、倒壊することはないが、人は立っていられないほどの揺れになるとした。
室内では家具や事務機器が猛スピードで飛んできてけがをしたり、停止したエレベーターに閉じ込められたりする恐れがあり、家具の固定や救出訓練などの対策を求めている。
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