菓子店の破綻相次ぐ コンビニスイーツ台頭で経営難 あの老舗や人気店も (2/4ページ)

花園万頭
花園万頭【拡大】

◆地方は人口減も深刻で消費伸びず

 若者を中心に手軽なコンビニスイーツの人気が高まり、顧客層を広げていることで、個人企業を中心に和洋菓子店は大きな影響を受けているとみられる。さらに、地方では人口減少も深刻で個人消費が伸びず、手堅い固定客を抱える老舗菓子店でも業績維持が難しい状況に陥っている。

 このため、顧客の嗜好に合わせた商品開発、サービス提供が求められるが、特に伝統を引き継ぐ老舗企業では、想像以上に変化することが容易ではないのが実情だ。

 大胆に客層の嗜好に合わせていくのか、ひたすら伝統の味を守り抜くのか、和洋菓子店の経営の舵取りの模索が続く。

《2018年 主な和洋菓子店の倒産事例》

(1)花園万頭(東京都)

 花園万頭(資本金4000万円、従業員90名)は5月31日、東京地裁に破産を申請した。負債総額は約20億円。

 同社は、天保5年(1834年)創業の老舗和菓子製造販売会社。「花園万頭」、「ぬれ甘なつと」、「花園春日山」が売上の中心で、自社工場で生産、本店等での直営販売のほか、首都圏の有名百貨店内に開設されている全国56カ所の売り場で一般顧客向けに販売していた。

 「日本一高い、日本一うまい」をキャッチフレーズにして東京銘菓としてピーク時の平成6年6月期には売上高約42億円をあげていた。

 しかし、バブル期に過剰な有利子負債を抱えたほか、東日本大震災後の販売不振など業況が悪化していた。さらに最近は、消費低迷による売上不振が続き28年6月期の売上高が約20億円に減少し、債務超過に転落した29年6月期も売上高が19億円にとどまり、経営悪化に歯止めがかからなかった。

名物「瓦せんべい」