トヨタ自動車と日産自動車が欧州向けディーゼル乗用車の販売を段階的に縮小する方針を表明するなど、ディーゼル車開発から距離を置くメーカーは増えている。発端は2015年に発覚した独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス規制逃れ問題だ。英仏政府は40年までにエンジン車の販売を禁止する方針で、ドイツ勢を中心にEVシフトを宣言する動きも広がっている。
自動車調査会社の英JATOダイナミクスによると、欧州26カ国で17年に販売したディーゼル車の台数は前年比7.9%減の676万台。欧州市場に占めるディーゼル比率は5.1ポイント減の43.8%で、今年に入ってからも販売は精彩を欠く。
それでも力強い加速と燃費の良さを両立できるディーゼル車は長距離で車を利用する顧客が多い欧州では根強い需要がある。メルセデス・ベンツ、BMW、アウディの「ドイツ御三家」は、なおディーゼル技術の開発意欲が旺盛だ。背中を押す動きは、欧州連合(EU)が30年を見据えて打ち出した環境規制だ。域内で事業を手掛ける自動車メーカーに対し、21年には走行1キロ当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を現行基準値より3割少ない平均95グラム以下とすることを求めている。CO2削減効果が高いディーゼル車の販売低迷が続けば、この目標の達成が難しくなるだけに、各社は焦り始めている。
総合的にエコ勘案
マツダがディーゼル市場の攻略にこだわる背景には「ウェル・ツー・ホイール(燃料採掘から車両走行まで)」という視点でCO2削減を進めるという考え方もある。