お茶の間でおなじみだった“通販の顔”が、新たな夢を追いかけている。通信販売大手ジャパネットホールディングス(長崎県佐世保市)の創業者で、サッカーJ1長崎の高田明社長(69)は、存続危機に陥ったクラブの再建を託された。就任が決まった昨年4月以来、精力的に活動する。
再生の1年
選手の給料が払えない可能性さえあった。昨年3月、当時J2の長崎は平成28年決算で約1億2千万円、累積で約3億円の赤字を見込んだ。J3降格もささやかれる中、スポンサーのジャパネットが全株式取得を表明。新社長として白羽の矢が立ち、引き受けた。
ジャパネットの出向者らによる新体制で臨んだが、旧経営陣から引き継ぎはなく実態把握に苦労するありさま。初めてのクラブ経営のため、J1鳥栖の試合を視察するなど手探りで再生に努めた。するとチームは後半戦で13戦負けなし。「奇跡」と驚く快進撃でクラブ初のJ1昇格を決めた。
経営問題の精査を続けつつ、4月にドイツ1部のレーバークーゼンと業務提携を結び、育成ノウハウを学ぶなど環境整備に奔走した。そんな激動の1年を「あまりきつい感じはなかった」とあっけらかんと振り返る。