製造インフラも着々と
一方、発電への利用を視野に入れたアンモニアの製造インフラも整いつつある。日揮はこのほど、福島県に1日当たり20キロを試験生産する設備を新設。従来のアンモニアが圧力を高めてから水素と空気中の窒素を化合して作るのに対し、新触媒によってより少ない気圧で製造すし、圧縮機の使用電力を減らす方針だ。
アンモニアは石炭火力以外でも活用が見込まれている。IHIは今年3月、2000キロワット級のガスタービンで、天然ガスとアンモニアを一緒に燃やす実験に成功。同じ月には、改質器を使わずにアンモニアを直接供給する固体酸化物型燃料電池(SOFC)も開発した。同社が目指すのは、アンモニアの製造から利用までを網羅した仕組みの構築だ。藤森事業開発部長は「早期の技術構築・社会実装を実現するよう、研究開発を加速していく」と意気込む。(井田通人)