■CO2ゼロ、輸送・貯蔵も容易
発電の燃料として、アンモニアが注目されている。IHIが石炭火力発電の燃料である微粉炭にアンモニアを混ぜて燃やす実験に成功するなど、徐々に技術開発が進みつつある。アンモニアは水素を多く含み、燃やしても二酸化炭素(CO2)が発生しない。水素に比べて輸送や貯蔵がしやすいなどの長所もあり、実用化されれば環境負荷低減に大きく貢献しそうだ。
燃料混合比率は世界最高
IHIの実験は、相生工場(兵庫県相生市)の試験用ボイラーを使い、昨年12月から今年1月にかけて行われた。実際に使われている石炭火力発電所の100分の1の規模とはいえ、燃料に占めるアンモニアの比率は20%と、世界最高水準を達成。実用化のめどをつけた。
アンモニアはNH3の化学式が示す通り、窒素と水素の化合物だ。燃やすと窒素ガスや窒素酸化物(NOx)、水に分解され、CO2を排出しないため、燃料に混ぜるほど、温暖化対策として有効だ。
しかも常温で圧縮するか、マイナス30度程度に冷やすと液体になり、運搬・貯蔵が容易だ。肥料や化学品の原料で、発電所でも排煙脱硝装置に使われているため、既存の輸送インフラも有効活用できる。ボイラーも、既存の石炭火力用の改修で対応できるという。