3000円で1カ月飲み放題! サブスクリプション型飲食サービス 緻密な営業戦略を探る (5/5ページ)

 たったの540円で、11~14時のランチタイムに月に何度でもOKということに驚いてしまうが、フリー対象はライスにカレーをかけただけのプレーンであり、トンカツ(200円)、ハンバーグ(150円)、チーズ(50円)などのトッピングを追加で支払ってもらえることにミソがある。

 トンカツその他を追加しても一般的なランチより安く済むわけで、それならお客としても毎日のように来たくなるだろうし、実際に毎日3組ほど新規のお客が来店してくれたという。それだけの宣伝と誘引の効果があることが、競争の激しい飲食業界では大きい。

 同店の経営者が新たなフリーランチへの出資をクラウドファンディングで募集したプロジェクトがあり、残念ながら目標金額を集めることはできなかったようだが、飲食業界でのサブスクリプション型サービスの可能性についての示唆に満ちた告知内容となっており、非常に参考になる。

 他にも喫茶店で月額制飲み放題のところがいくつか見つかったが、「コーヒー代がかからないからついでにランチも食べていこう」などの誘引の要素が、こちらでも期待できる。また、先にあげたアンドモワの居酒屋飲み放題にも、料理の追加の要素がある。いずれも、トッピングの一種としてまとめられるのではないだろうか。

 飲食業界でこうした月額制が現れ始めた背景には、動画配信のネットフリックスなどのサブスクリプション型サービスの広まりもある。月ごとにまとめてクレジット決済されることへの心理的な慣れが出てきた上に、たとえば“小遣い制”のサラリーマンであれば、財布の中身とは別枠にできるちょっとした嬉しさもある。

 そういったところから消費者としても歓迎できる、ますます広まってほしいサービスだ。(待兼音二郎/5時から作家塾(R))

 5時から作家塾(R) 1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。