3000円で1カ月飲み放題! サブスクリプション型飲食サービス 緻密な営業戦略を探る (4/5ページ)

▽店の「広告塔」としての期待も

 もうひとつ、居酒屋という業態ならではの月額制のメリットも見えてくる。飲み放題カードをもった人がお店の広告塔の役割を果たすことが期待できるのだ。

 「カードをもった幹事さまが3名さまをお連れになるなどの例があります。そうやってテーブルを囲む人々のなかには酒豪もいれば、お酒はほどほどにという方もいらっしゃるので、平均するとお一人4~5杯に落ち着きます」(森本氏)

 アンドモワの飲み放題カードには、一緒に来店した人の1回限り飲み放題が1780円→1500円と割安になる特典もついてくる。それを誘い文句に、カード所持者が同僚や知り合いを誘ってきてくれるのだ。追加の宣伝費をかけずに大きな口コミ効果が得られるわけで、その利点は少なくない。

 まとめると、居酒屋とは仲間たちと連れ立って行く場所であり、酒席には料理も不可欠。その二重のプラスアルファの要素が、採算ラインを上回って余りある勝算をもたらしてくれるのだ。

 アンドモワの森本氏は「景気は気から」という言葉で、この太っ腹なサービスの需要創出効果を表現する。「(消費者の節約志向が根強いなか)心理的なハードルとなる飲み代を定額とすることで、仲間と一緒に盛り上がり、わくわくできるコミュニケーションの機会を提供し、居酒屋文化の振興を図っていきたいと考えております」と、意気込みを語ってくれた。

 同業他社と差別化をして独り勝ちを目指すのではなく、むしろ他社とも提携して同様のサービスを広めて業界全体の底上げを図りたいという理念に、志の高さがうかがえた。

▽「トッピング」が大盤振る舞いと利益確保の両立を可能にする

 他の飲食業界での月額制の事例のなかで、とりわけ興味深いのは、福岡県北九州市の「スナックうまい棒」というお店でかつて実施されていた、「月額540円でランチタイムのカレー食べ放題」というサービスだ。

広がるサブスクリプション型サービス