「ペッパー」の生みの親はどちら? ソフトバンクOBめぐり騒動 孫氏と“愛弟子”の因縁 (4/5ページ)

ソフトバンクの公式サイトに掲載された林氏のインタビュー。「開発リーダーという表現は誤り」として修正した旨の注釈がある
ソフトバンクの公式サイトに掲載された林氏のインタビュー。「開発リーダーという表現は誤り」として修正した旨の注釈がある【拡大】

  • グルーブXの林要社長(同社ホームページから)
  • ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長

 ソフトバンクグループの社員にとって孫氏は文字通り「カリスマ」だが、当然、林氏にとっても憧れの経営者だ。ソフトバンクロボティクスの在籍時、ペッパーのプロジェクトで壁にぶつかるたび、「孫社長の叱責を機に、プロジェクトは少しずつ軌道に乗っていった」とメディアのインタビューで振り返っている。

 ただ、こうしてみると、ますますよくわからないのが、なぜこれほど蜜月だった孫氏と林氏の間に緊張を生じさせる騒動が今回起きてしまったのかだ。真相はなお不明だが、業界関係者が「ひょっとしたら関係が…」と勘繰る出来事が最近あった。

 グルーブXは昨年12月4日、東京・汐留に大きな広告を掲出した。1カ月の期間限定だったが、汐留にはソフトバンクグループの本社があり、関係者はいやでも広告が目に入る。さらにグルーブXは同日、未来創生ファンドと産業革新機構(以下INCJ)などに対し、総額68億5000万円の第三者割当増資を実施すると発表した。事業拡大に向け、資金調達を本格化させる構えを示した。

 これが一部メディアに「グルーブXがソフトバンクに“宣戦布告”した」とやや面白おかしく報じられたのだ。

◆両者とも「ケンカしたくない」のが本音?

 グルーブXは「当社としてはソフトバンクさんとケンカしたいわけではない。『開発リーダー』と名乗りたいわけではないし、ソフトバンクさんがそうおっしゃるなら、今後も名乗らないだけ」(広報)とコメントしている。今回の騒動にかかわらず林氏は受講生としての活動を続けていきたいとの希望も持っているという。

固い絆で結ばれた師匠と弟子の行く末は…