ファミリーマートが発売した「忖度御膳」の売れ行きが悪いのではないか? とネット上で話題になっている。もともと数量限定であり、販売不振が本当だとしても、同社にとって大きなダメージにはならないだろう。しかしながら今回の一件は、曲がり角を迎えたコンビニビジネスの現状を浮き彫りにしたという点で非常に興味深い。(加谷珪一)
ファミリーマートは12月1日、話題となったキーワードを盛り込んだ数量限定の和風弁当「忖度(そんたく)御前」の販売を開始した。価格は同社が販売した弁当としては最も高額の798円(税込)に設定した。なかなか凝った作りになっており、弁当に入っている9種類の食材と忖度に関連した言葉を結び付け、文章になるよう工夫されている。
例えば「この案件、うまくいくとめでたいです」という部分は「案件」を「あんかけ」に、「うまく」を「うま煮」に、「めでたい」を「金目鯛」にかけている。「腹黒くはありませんがマメにお会いして」というくだりでは、「腹黒く」は「のどぐろ」に、「マメ」は「枝豆」となっている。
弁当箱は9つのブロックに分けられており、このうち3つには御飯が、6つにはおかずが盛られており、コンビニ弁当としてはなかなか豪華な作りだ。
忖度御膳は11月21日から予約を開始し、12月1日に店頭での販売が始まったが、その直後から、ネット上では「売れていない」という声が多く聞かれるようになった。真偽の程は不明だが、ある店舗ではほとんどの商品が廃棄されたとのツイートもあった。
売れ行きが良くないことが本当なのだとすると、一体、何が原因なのだろうか。一部からは「政治家を揶揄(やゆ)した企画内容が不快感を呼んだ」との意見もあったが、それが理由とは考えにくい。政治に強い関心を持ち、感情を移入する人はそれほど多くないのが実情であり、商品が売れないケースの大半は、消費者ニーズとのミスマッチである。