「その内容は価格に伴っているか」 “日本一”のラーメン店「蔦」だからこそできた値下げ (7/8ページ)

 「醤油Soba」を1000円から900円に値下げした理由

 2017年6月における「新味」のリリースと同時に、大西店主は「醤油Soba」の価格を100円下げて900円とした。今、ラーメンの価格が年々上昇傾向にあり、1000円を超えるラーメンを出す店も珍しくない。つまり、あえて逆を行っているのだ。

 「今回開発した『新味』は、素材の持ち味を最大限活かしたシンプルな作品にすることを心掛けました。900円にしたのは、トッピングの内容まで徹底的に見直し、本当に必要な具材を選(え)りすぐった結果、その価格で対応できることが分かったからです」

 もちろん、今回の「醤油Soba」にも十分なコストは掛けている。昔、ラーメンのスープを採るために使う鶏はブロイラーが一般的だったが、今では地鶏を使う店も多い。ラーメンだけがいたずらに安ければ良いとされる時代は、とうに終わりを迎えている。

 1000円のラーメンに内容は伴っているのか

 「ここまで技術の粋を凝らし、些細な欠点すら見当たらないラーメンが900円で食べられるなんて。1000円のままでも良かったのではないですか」と正直な感想を口にすると、「いえいえ、具材の分量を減らしましたので、900円で何とかなります」と大西店主。

 「そもそも、今、1000円で提供されているラーメンで、内容が価格に伴っているものがどれだけありますか。ラーメンが丼ひとつで完結する料理である以上、内容をどれだけ吟味しても価格が1000円を上回ることはまずありませんよ」

 もしかすると、大西店主のこの実直な人柄こそが、人を惹きつけてやまない1杯を創り出すことができる最大の要因なのかもしれない。

特に印象に残った大西氏の言葉がある