つかんだ客を離さない仕掛けが「航空会社のマイレージサービスをヒントにした」(一瀬社長)という、独自のポイントシステム「肉マイレージカード」だ。常連客の“囲い込み”を狙い1号店開業の半年後に導入した。食べたステーキの量を「肉マイル」に換算し、累計3000グラムに達すればスタンダードからゴールド、2万グラムでプラチナへと昇格。ランクに応じてクーポンなどのサービスが受けられる。
さらに15年にはカードと連動したスマートフォン用アプリも導入し、会員同士で肉マイルを競い合うというゲーム性も取り入れた。ゴールド会員は15万人、プラチナ会員は1万人を超えた。100キログラム以上食べたダイヤモンド会員も177人を数え、一瀬社長もその一人だ。
PFSの17年1~6月期の売上高は、前年同期比47%増の154億円で、営業利益は2.7倍の12億円と増収増益だった。8月には東証2部から1部上場への昇格も果たした。約430店を展開する「ペッパーランチ」も好調だが、成長を牽引(けんいん)しているのはいきなり!ステーキだ。店舗展開は今のところ直営店が約60%、社員が独立したり、運営受託したりした店が約15%を占める。しかし、外食のフランチャイズ店を展開する企業から「『いきなり』に乗り替えたい」という問い合わせが殺到しているという。
一気に全国展開へ
現在の店舗立地は首都圏が中心だが、フランチャイズ展開の加速により、来年以降は地方のロードサイド店が一気に増える見通しだ。糖質の摂取を制限(ローカーボ)する健康法の定着や、高齢者のタンパク質不足によるロコモティブシンドローム(運動器障害)への理解の深まりも追い風となっている。「ペッパーランチも含めて、国内1000店は射程に入った」(一瀬社長)というPFSの勢いは止まりそうにない。