明治大学と炭火焼熟成肉専門店を運営するフードイズム(東京)は21日、人体に無害なカビを使って発酵熟成肉を短期間で製造できる技術を共同開発したと発表した。両者でベンチャー企業を設立し、外食業者向けなどに展開する。養殖マグロで有名な近畿大学に続く、食関連の大学発ベンチャーとして注目を集めそうだ。
これまでの熟成肉は、製造する環境を整えた庫を作るのに約1年、さらにその庫で熟成させる期間に約100日を要し、肉が劣化・腐敗するリスクがあった。
明大農学部の村上周一郎准教授らは、熟成肉に欠かせない特別なカビの胞子を人為的にシートに付着させ、このシートで肉を巻くと、短期間で熟成を進行させ、かつ腐敗も防止できることを突き止めた。村上准教授らによると、日本でも初とされるこの製造技術「エイジングシート(特許出願中)を活用することで、安定的に短期間で発酵熟成肉を供給することが可能になったとしている。
村上准教授とフードイズムの跡部美樹雄社長は、エイジングシートで安定的に製造・販売するベンチャー企業「ミートエポック」を明大生田キャンパスに設立。フードイズムは、他社の熟成肉との差別化を図るため、エイジングシートを用いて製造した発酵熟成肉を取り扱う店舗にステッカーを掲示する。
村上准教授らによると、熟成肉は一般に寝かせて製造した肉のことをさすが、使われる微生物(カビ)もとくに決まりはなく、増殖も不安定で、そのために品質も安定しない傾向があった。これに対し、エイジングシートを用いて製造すると、微生物の増殖が安定し、香り成分の増加など肉の熟成が促進されるという。