サントリースピリッツが東京・銀座に7月18日開いた「メーカーズマーク」の旗艦店。“クラフトハイボール”をPRし、顧客店向けセミナーも開く【拡大】
時給上昇と採用難が進む中、ハイボールをめぐっても「注文のたびにウイスキーをソーダで割るより、樽詰めを注ぐ方が少ない人手で早く提供できる上に、味のバラツキもない」(小泉氏)というメリットから、樽製品を出すよう要望が強まっていたという。
実際、最大手のサントリー酒類はすでに樽ハイボールを約2万店に展開。「ブラックニッカ」を使うアサヒビールも前年比50%増と急拡大している。
「国産」は原酒不足
では、なぜ「輸入ウイスキー」なのか。一言でいえば、国産のウイスキー原酒が不足しているからだ。
「ハイボールブーム到来前の2008年に、国内のウイスキー飲用者は推計800万人だった。その後、約10年の間に2000万人まで広がった」と説明するのは、サントリースピリッツの尾崎大輔ウイスキー・輸入酒部部長。ここ5年間の業務用ウイスキーに限っても、市場規模が倍増に近い勢いを示している。
しかし、よく知られているように、ウイスキーは醸造後の熟成に3年から10年前後かかるため、人気が高まっても出荷量をすぐには増やすことはできない。
その対策として、サントリー酒類は14年に白州蒸留所(山梨県北杜市)の生産設備を30%増強した。アサヒビール傘下のニッカウヰスキーも今年、宮城峡蒸留所(仙台市青葉区)で原酒を40%増産する。