アサヒグループホールディングス(HD)が2018年以降、欧州で主力ブランド「スーパードライ」を現地生産し、現在の2倍となる年間200万ケース(1ケースは大瓶20本換算)の販売を計画していることが29日、分かった。10月に買収したイタリアのビール会社の工場で生産する計画で、買収先の販路を生かして欧州全土に販売を広げる。
アサヒは欧州でスーパードライを販売しているが、英国を除くと本格展開できていない。現在は英国とチェコのビール会社に生産委託しているが、ライセンス契約が切れる18年以降、買収したイタリアのビール会社の工場を活用し、自社生産に切り替える。
アサヒは10月にビール世界最大手のベルギー、アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)からイタリアのペローニ、オランダのグロールシュ、英クラフトミーンタイムなど4社を約3000億円で買収。今後、4社の統括会社にスーパードライを販売展開するためのマーケティングチームを新設する。イタリア首位のペローニやオランダ2位のグロールシュは高級ビールとして欧州で人気が高い。
まずはイタリア、オランダの飲食店やパブにスーパードライを供給。さらにペローニやグロールシュの販路を活用し、周辺国にも販売を拡大する。
アサヒは12月にも、ABインベブと東欧のビール会社5社を約9000億円で買収することで合意。将来的に東欧でもスーパードライの販売を広げる。
スーパードライは14年に米国、15年にベルギーの国際ビールコンテストで金賞を受賞。海外の醸造専門家の評価も高く、買収を契機に高級ビールとして欧州での販売拡大を狙う。