ディズニーが90年近く作り続けてきたアニメーション作品の原画やコンセプトアートが集まった「ディズニー・アート展《いのちを吹き込む魔法》」が、東京・お台場にある日本科学未来館で9月24日まで開かれている。その会場に8月1日から登場した「ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ 塔の上のラプンツェル エクスペリエンス」powered by teamLabも、チームラボの手になる作品。ディズニーのアニメーション映画として2010年に作られ、日本では2011年に公開された「塔の上のラプンツェル」のワンシーンに入り込んだような体験ができるインスタレーション作品だ。
日本科学未来館の7階に作り上げられた空間に入ると、そこには天井から幾つものランタンがつり下がっている。塔に閉じ込められたラプンツェルが外に出て、ゴンドラの上で周囲から集まって来た光り輝くランタンを眺めるシーンを再現したかのよう。薄暗い部屋の中をぼんやりとオレンジ色に輝くランタンの列が無限に広がって見えるのは、部屋の四方が鏡張りになっているから。そんな部屋でランタンに近寄ると、ランタンが明るく輝き出す。
誰かを思う自分の気持ちがランタンに伝わったかのよう。輝きは周囲のランタンへと伝わって次々に光を放っていく。鏡張りとなっているため、輝きが無限の彼方へと広がっていくようにえる。自分の思いがランタンを通して世界へと拡散し、誰かの心に届く可能性を感じさせてくれる作品と言えそう。
チームラボ カタリストの竹内正人さんは、制作にあたってディズニー側から「オレンジ色の赤みが強いとか、ランタンのプロダクトも映画とサイズが違うといった要望があった」ことを明かした。作品世界を徹底して守ろうとするディズーらしい要望だが、チームラボはこうした課題を見事にクリア。最終チェックに数日を予定したのが1日で済んでしまったくらい、完璧な仕上がりのものを提供した。
「塔の上のラプンツェル」日本語吹き替え版でラプンツェルの声を演じた中川翔子さんも、作品を体験して「リアルにラプンツェルの世界が再現されていて、ラプンツェルになったみたい」と話して、映画の世界をそのまま再現した技術力の高さ、作品そのものの素晴らしさを讃えていた。「ディズニー・アート展《いのちを吹き込む魔法》」の入場者は同じチケットで観覧できる。