視覚だけでなく、歩く動作や香りなど、さまざまな感覚を組み合わせて発生させることで、体験者が発生させる感情や反応も、より現実のものに近くなる。こうした感情は、体験者の体に取り付けられたセンサーから読み取れる。FOVE製のVRヘッドマウントディスプレーからは、視線トラッキングの機能を使って、何を見ていたかも記録できる。AOI Pro.によれば、こうした環境を作り上げることで、より緻密なマーケティングデータの収集、より効果的なプロモーションの実現などに繋げられるという。
3DCGビジュアルやVRコンテンツの制作を手掛けるビーライズ(広島市中央区)も、歩きの要素をVRの世界で再現する技術を提案していた。VRヘッドマウントディスプレーを装着した上で台の上に乗り、下から伸びた箱に腿を添えて足踏みをすると、センサーが反応してVR世界の中にいる自分も部屋の中を前に進んでいく。台の上で左右へと進む向きを変えることも可能。デモンストレーションでは、マンションの室内を歩いて回るコンテンツが使われていたが、ファンタジーのような架空の世界を、どこまでも自由に進んで行けるコンテンツも作れそうだ。
FOVEを使ったサービスでは、コンテンツ東京2017に出展していた南国ソフト(東京都目黒区)が見せていた「The Outer Foxes」もユニークだ。VRヘッドマウントディスプレーを装着して現れる空間内で、チェスのように駒を動かすゲームを楽しむものだが、向かい側に現れる対戦相手となるキャラクターの視線が、実は別室にいるプレーヤーの視線と連動している。自分の視線も相手から見える対戦キャラクターの視線と連動している。