■加熱式たばこファン拡大へ クリーンさと風味両立
燃焼に伴う煙やタールがゼロで、においも少ないとして愛煙家の注目を集めている加熱式たばこ。米フィリップ・モリスインターナショナルの「iQOS(アイコス)」が国内市場を席巻する中、日本たばこ産業(JT)は「ploom TECH(プルームテック)」で追い上げている。クリーンさと風味を両立させ、紙巻きたばこからの乗り換えを競う「10年戦争」(JTの小泉光臣社長)の幕開けだ。
においと利便性で差別化
「他社製品とコンセプトがまったく異なる。いわば『水出しコーヒー』のイメージです」。たばこ事業本部のマーケティング担当、岩崎譲二さんはプルームテックの技術に胸を張る。
アイコスや英ブリティッシュ・アメリカン・タバコの「glo(グロー)」は、いずれも専用たばこを筒状のホルダーに差し込み、燃やす代わりに電気で加熱して、ニコチンを含んだ蒸気を吸う仕組みを採用した。
一方、プルームテックは電気を使う点こそ同じだが、加熱するのは専用リキッド。水や食品添加物に使うグリコールなどを混合している。その蒸気が、粉砕たばこ葉の詰まったカプセルを通り、ニコチンを揮発させるという「間接加熱」の発想だ。
開発陣がヒントにしたのは、植物の芳香成分が凝縮されたエッセンシャルオイル(精油)を抽出する際に用いる「水蒸気蒸留」の手法だ。カプセルを通る蒸気の温度は約30度と低く、においを減らす上で直接加熱より有利に働く。