総務省関係者は「量販店などには、理解したうえで買ってもらうように説明していただいている。説明不足なら店に苦情が来るので、徹底しているはずだ」と話す。
試しに6月初旬の日曜日に埼玉県内の家電量販店で聞いてみた。まず4Kテレビの売れ筋をたずね、BSの4K放送に話が及ぶと店員は「チューナーがないと見られないです」と、きちんと説明してくれた。
とはいえ、4Kテレビ購入に至った理由は、BSの4K放送を視聴したいだけではなさそうだ。店員によると、4Kテレビでは、フルハイビジョンで視聴している番組の画質を高める機能があり、これが主な購入動機になっているという。映画などのHulu(フールー)や、Jリーグの試合が中継されるDAZN(ダ・ゾーン)といった動画配信が人気だ。
今のところ、4Kの本放送がないので不都合が生じないが、BSの4K放送が始まったり、東京五輪が始まったときには、「4Kテレビなのに4K放送が見られない!」と、混乱が起きる懸念も否定できない。
放送開始まであと1年半。NHKや民放系のBS4K放送は外付けチューナーがあれば従来のBS用アンテナで見られるが、SCサテライト放送やWOWOWなどが提供する4チャンネルは電波の伝わり方が従来と異なるため、チューナーのほかに専用アンテナが必要になるなど、視聴環境に関する事情は複雑だ。
政府や業界団体はこれまで以上に、4K放送に関する周知を徹底する必要がある。(高橋寛次)