2回目となる今回の超歌舞伎2017では、遊郭を舞台にした新作「花街詞合鏡」に演目がかわり、花魁の衣装をまとった初音ミクの優雅な踊りが披露され、CGによる描画力の向上が示された。同時に、昨年の「今昔饗宴千本桜」でも使われた、人物を離れた場所に登場させるKirari!の技術も向上が図られ、背後にセットや人物がいる場所でも、目当ての人物だけを切り抜いて伝送することが可能になった。
舞台の左右に分かれて立つ紋三と新右衛門が、それぞれカメラで撮影されて伝送され、同じスクリーンの上に接近した形で登場する。離れた場所で2人が手足を動かすと、スクリーンの上では戦っているように見える。去年に引き続き出演した、中村獅童さんと澤村國矢さんの息の合った演技と、NTTの技術が重なり生まれた驚きのシーン。いずれ世界の各地でカメラの前に立った役者たちが、同じ舞台の上で共演する時代が来るかもしれない。
新右衛門の手下たちが、手に光る剣を持って戦うSF映画のような場面もあれば、おおぜいでハシゴを支えて、その上を紋三が駆け上がり、ステージの上段へと移るような力技も見せるなど、演出面でも最先端と古典の融合が見られた。最終公演では、中村獅童さんら出演者たちが舞台の下に降り、観客の間を走り回って大喝采を浴びた。歌舞伎という古典に若い層の関心を呼び込んだ超歌舞伎。来年はどれだけの技術の進歩が見られ、驚きの演出が繰り広げられるかに、今から注目が集まっている。