将来への不安
同社は昭和27年から蛍光灯の照明器具の販売を続けてきたが平成30年度中に完全に撤退し、店舗や住宅向けなどを全てLEDに切り替える。技術の向上やサービス強化も重要な取り組みだ。
ただ、古いLED照明を使う顧客への気配りを欠かさないのは、それだけが理由ではない。背景には国内市場の成長鈍化への危機感がある。東日本大震災後の市場の急成長はピークを過ぎたとの見方は強い。
調査会社の富士経済は、工場など業務用のLED照明器具の国内市場は平成27年に4913億円だったのが、42年に4278億円に縮小すると予測している。価格は低下していき、照明器具の長寿命化で蛍光灯のようなペースでの買い替えも期待できない。
そうした中、パナソニックは家庭用も含め30年度にLED照明の国内売上高2400億円を目指す。26年度実績より93億円増という控えめな目標だが、それすら「差別化戦略を充実させなければ達成できない」(関係者)とみられている。
明るさを求めて
パナソニック以外でも、LED照明メーカーはそれぞれに活路を探っている。
コイズミ照明(大阪市中央区)は、和傘や和紙など伝統工芸品の素材を用いた住宅用製品を販売。価格は3万1000~10万円(税抜き)と割高だが、売り上げは好調という。