一方のテスラ。自動運転技術の実用化に続き、マスク氏は最近、「ニューラリンク」という新会社を設立し、小型電極を脳に埋め込んでコンピューターと接続する新技術の研究に乗り出した。ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、マスク氏は、その技術を「ニューラルレース(神経のひも)」と呼んでいるという。シリコンバレーでは、米フェイスブックも4月19日、頭に思い浮かべるだけで文章が書けるコンピューターの入力技術の研究開発を進めていることを明らかにしており、AIに続く革新的なコンピューター技術として注目されている。
今はまだ、テンセントとテスラの連携が具体化したわけではないが、時価総額で世界の上位10社に顔をみせる資金力と巨大な中国市場を手中に持つテンセントと、革新技術への嗅覚と創造性に秀でるマスク氏が協業に踏み出せば、ITと車が融合するコネクテッドカー分野でも市場をリードする可能性がある。
米中の成長企業の挑戦。自動車大手で最強の収益力を誇るトヨタだが、豊田社長が「未来のために今を変える覚悟が必要」と危機感を示すのは、次代の“刺客”の足音が聞こえているからなのかもしれない。(産経新聞経済本部 池田昇)