米国の原発事業で巨額損失を計上する見通しとなった東芝が、今後新設する原発の建設工事事業から撤退する検討に入ったことが26日、分かった。原発設計や原子炉などの製造などの分野に専念する方針。東芝は27日に取締役会を開き、半導体事業の分社化を決定する。その上で、海外で受注した原発の管理強化に向けた具体策を検討する方針だ。
東芝の米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)は、2015年末に建設工事を手掛ける米原発サービス会社CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)を買収した。原発建設事業を傘下に置き、遅れていた米国内の原発4基の工事を進める考えだった。東芝は「リスクを上回るメリットがあると判断した」(綱川智社長)という。
だが、工期の遅れに伴う作業員の雇用長期化などで費用が大幅に増加。こうした原発事業関連の損失額は最大7千億円規模になる恐れがある。東京電力福島第1原発事故後、世界的に原発の新設は停滞しており、工期の遅れなど「リスクが大きく、将来像を考えないといけない」(幹部)との懸念から、原発建設事業の撤退を視野に検討する。
またS&Wの買収当時、東芝は不正会計問題への対応に追われており、WHの企業統治が十分でなかったとみられている。綱川社長は昨年12月27日の会見で原子力事業について「必要に応じて見直すことはあり得る」と明言しており、分社化や一部事業を他社と統合することなども含めて検討する見通しだ。
東芝は2月14日の28年4~12月期決算発表と合わせて、米原発の損失額を公表する方針だ。翌15日には、巨額損失の経緯と再発防止策など銀行団に説明し、融資継続を要請する。