MRJ、受注キャンセル懸念も 納入最大7年半遅れ…薄れる優位性 (1/3ページ)

MRJ事業について説明する三菱重工業の宮永俊一社長=23日午後、東京都港区
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  • MRJ開発の経緯

 三菱重工業は23日、開発中のジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」について、2018年半ばを予定していた初号機引き渡しの時期を20年半ばに2年延期したと正式発表した。一部装備品の配置を変えたり、電気配線の設計を変更する必要が生じ、現状の納期では間に合わないと判断した。延期は5度目。「YS-11」以来、50年ぶりの国産旅客機は、最大の正念場を迎えている。

 今後は、引き続き安全性を認証する型式証明の取得に向けた作業を進める。また、MRJ以降の次世代機の技術開発を別のチームに任せ、開発作業を効率化する方針も明らかにした。

 宮永俊一社長は都内で開いた会見で、延期理由を「世界で販売していく上で、安心安全の面で最高水準であると証明するため」と説明。延期が重なったことについては「開発前の情報収集やリスク分析についてもう少し勉強すべきだった」とした。

 一方、08年の事業開始時に1500億円程度と見込んでいた開発費が、数千億円に膨らんでいるとみられることについて、「(現状の)想定よりさらに3~4割増加する」と見通しを明らかにした。

エンブラエルなどとの受注競争がさらに不利となるのは必至