損保各社で作る損害保険料算出機構は、各社の保険料の基準となる参考純率を来年1月から9%引き下げると発表した。自動ブレーキ搭載車の事故率が低いためで、これを受け各社の保険料も引き下げられる見通し。
車両保険値上げも
自動運転車についても東京海上が今年4月から、システムの誤作動など運転者に過失がない場合でも被害を補償することを想定した無料の特約を提供する。
ただ、事故が減ると賠償に備えるニーズが落ち込む可能性もある。少子高齢化や若者の自動車離れもあって自動車保険の市場の大幅な拡大は見通せない。
技術の進展によって自動車が精密機械化して、事故の回数は減っても1回の修理にかかる車両の費用が高騰し、車両保険代は上がるといった見方もある。
自動車保険は損保各社の主力商品だけに影響は大きい。最新技術を活用して事故を減らし、契約者の保険料の支払いを減らすのは望ましい姿といえる。
だが、日本では保険料の決め方が細かく制度化されており、「リスクの細分化は収益悪化を招きかねない」(大手損保)といった懸念の声も上がる。損保会社の取り組みが会社と契約者の双方にとってメリットのあるものにできるかが注目される。(永田岳彦)