しかし、デフレ心理が色濃く残る中、割安な発泡酒や第3のビールも消費者からの支持を集めている。
キリンの布施社長は「(税率改定が段階的に始まる)32年までデフレが進んでいれば、発泡酒と第3のビールも強化しないといけない」と強調する。税率は10年かけて統一され、一本化されてもビールとの価格差は残る。このため各社は一気にビールにシフトするのは困難な状況だ。
実際、今年の第3のビール販売計画は、アサヒ前年比2・6%増(ビールは0・9%増)▽キリン1・1%増(同4・9%増)▽サントリー1・9%増(同0・5%増)▽サッポロ4・3%増(同3・0%増)-と全社がプラスで、キリンを除く3社がビールを上回る伸び率を計画する。
低価格だけでなく、プリン体ゼロや糖質ゼロといった機能も、発泡酒や第3のビールならではの商品性だ。アサヒの平野伸一社長は「機能で売れている商品は、税率が一本化されても(売れ行きなどは)変わらない」と話す。
ただ、28年のビール類の国内市場は12年連続でマイナスとなったもようで、今年も1%程度の縮小が見込まれている。特徴のある商品を投入するなどで市場を拡大できなければ、安値販売でパイを奪い合う“消耗戦”に陥りかねない。