ビール党は歓迎も… なぜ酒税一本化に「10年」かかる? 不可解さ拭えず (2/3ページ)

 有り体にいえば、17年度改正でビール系飲料の酒税一本化に向けた道筋が付いたといったところだろう。それでも、国際的にみて日本のビールの税額は高く、ビール大手は「ビール減税は大きな前進」(キリンビールの布施孝之社長)と評価する。しかし、税額を統一するまでに10年近くを要する点については、何とも不可解さが拭えない。

発泡酒、第3のビールを税収で補えるか

 確かに、一向に抜け出せないデフレ経済下にあって、生活防衛の面でも低価格が支持されてきた発泡酒や第3のビールが値上がりするとなれば、ビール系飲料全体の消費動向にも影響してくる。値下げとなるビールは復権する可能性はあるにしても、発泡酒、第3のビールを税収面で補えるまで回復できるかという確証はない。その点で、財務省の意向が見え隠れする。

 同時に、いまや税制改正でも「政高党低」を鮮明にする「一強」状態の官邸が支持率低下を懸念し、消費者の増税感をできるだけ薄めようと動いたとも取り沙汰されている。税額が3区分に分かれるビール系飲料の酒税は世界的に例がなく、日本固有のいわゆる「ガラパゴス化」の道を辿ってきた。その歪みは結果として、メーカー大手各社が区分ごとに商品開発を競い合う体力消耗戦に明け暮れた。

日本勢の国際競争力向上に期待も…