ビジネス系大手出版社、ダイヤモンド社の今泉憲志取締役兼書籍編集局長は「いわゆる活字離れには懐疑的だ。今ほどコンテンツが求められている時代はない。書籍の多様化の一つとして可能性を感じ参入した」と述べ、市場の伸びしろに期待を寄せる。
「現在の日本市場は約50億円。海外の例でいくと書籍の5~10%程度に達し、市場は900億円規模に拡大する可能性がある」とオトバンクの上田会長はみる。オーディブルのアンダーソン氏は「『今、どんな本を聴いている?』と話題にされるマスメディアになるのが目標」と話す。
ながら聴きができるオーディオブックは、活字を読むのに苦労する高齢者にも、時間に追われて忙しい現役世代にも受け入れられやすいサービスだ。携帯端末の普及を機にサービスがさらに浸透し、市場が欧米並みに拡大すれば、書籍の売れ行きが低迷する日本の出版業界に新たな可能性をもたらしそうだ。(滝川麻衣子)