“ながら聴き”出版界を活性化できるか? スマホやタブレットに徐々に広がる「オーディオブック」 (2/3ページ)

オーディブルが「ハリー・ポッター」シリーズを配信。俳優の風間杜夫さんが朗読する=9日、東京・北青山
オーディブルが「ハリー・ポッター」シリーズを配信。俳優の風間杜夫さんが朗読する=9日、東京・北青山【拡大】

  • 「オーディブル」で配信を始めた「ハリー・ポッター」の朗読をする、俳優の風間杜夫さん=9日午後、東京・北青山(酒巻俊介撮影)
  • 主なオーディオブックのサービス

狙いは高齢者市場

 「アマゾンの参入は追い風。環境が整い、市場はようやく花開き出した」と話すのは、オトバンク(東京都文京区)創業者の上田渉会長だ。同社は2007年に配信サービス「FeBe(フィービー)」を開始。朗読に声優や俳優を起用した作品の制作から販売、出版社と連携したPRも手がけ、現在は1万9000タイトルを扱う。

 8年かけて10万人(14年)に達したユーザーは、この2年ほどで20万人に倍増する見込みという。昨年は、市場を開拓するため大手出版社16社と連携し日本オーディオブック協議会を設立した。

 ビジネス書の利用が多いこともあって、オトバンクの年齢別ユーザーは現在、30~40代が6割を占める。しかし、「一番のターゲットは高齢者。目を使わないオーディオブックは本のバリアフリー」(上田会長)と、同社は高齢者市場の成長を見据えている。

900億円規模に拡大

 オーディブル発祥の米国は車社会のため、移動時間に「本を聴く」習慣は普及している。一方、日本では書籍をCDやカセットテープで音声化するサービスはあったが、紙の書籍よりも値段が高く、定着しなかった。

 それが、ここにきて市場が開花した背景は「大きく3つある」(オトバンク)という。まずはスマホやタブレットなど携帯端末が普及したこと。次に、価格が紙の書籍並みになったこと。そして、出版社の協力でタイトルが豊富にそろったことだ。

日本市場は900億円規模に拡大する可能性