民泊物件については「高い収益が見込める」という期待度が高い。しかし、思っていたより、もうかるビジネスではない。当該マンションの宿泊費はいずれも1泊1万円で、1カ月に20日間稼働したと仮定して収入は20万円。そこから賃料(約10万円)と清掃費、仲介サービス利用費などを差し引くと、手元に残るのはわずか2万円しかない。最終利益は10%だ。
宿泊した不動産会社の社員は「削りどころは清掃費とアメニティだが、ここをケチるとレビュー低下につながる恐れがある」と指摘する。また、1日の大半を部屋の中で過ごす「ノマドワーカー」などが借りたら、光熱費や水道代などが余計にかかり、利幅がさらに小さくなる。
一方、所有物件を民泊に活用すれば利幅は大きいかもしれないが、「犯罪の発生の可能性を考えると恐ろしい」というのが、今回の不動産プロの結論だ。
鳴り物入りで本格導入されようとしている民泊。しかし、市場として発展するにはさまざまなハードルを乗り越える必要がありそうだ。(伊藤俊祐)
■民泊 個人宅やマンションの空き部屋に有料で観光客らを泊めること。訪日客が急増する中、無許可営業が増加しており、国は4月から面積基準を緩和し、旅館業法に基づく許可制とした。これとは別に東京都大田区や大阪府、大阪市は「国家戦略特区」の規制緩和を活用し、民泊を旅館業法の適用除外としている。