もう1人が宿泊したのは東京・大久保のワンルームマンション。ホストは某ホテルのスタッフとして働いている韓国人の女性。職業柄、きめ細かな配慮を感じたそうだ。例えばテレビやエアコンのリモコンには英語が補足されていたほか、冷蔵庫の中のものは自由に食べたり飲んだりすることが可能。サービスでバナナやポテトチップスといった軽食がかごに盛り付けてあった。新宿区内の物件のホストは男性。さすがにそんなサービスはなかった。
その女性は都内3カ所で民泊を運営。いずれも転貸だ。新宿区内の物件のホストも同様の手法によって、複数の部屋を民泊用として活用している。
民泊で最も懸念されるのは、安全・安心に対する不安だ。2人の調査員は「クレジット、SNS、パスポートまで押さえられたら、なかなか悪いことはできない」と口をそろえるが、たった1泊という短い期間の中で、いくつかの問題点を発見した。
新宿区内の物件はエレベーターの防犯カメラが壊れていた。これは、管理組合があまり機能していないことの裏返し。建物内に入るにはオートロックの解錠が必要となるが、暗証番号は教えられるため、第三者に漏れる恐れがある。また、カギは「テーブルの上に置いてある封筒に入れて、玄関ドアのポストに入れてほしい」という指示。カギの複製を悪用した事件があっただけに、あまりにも脇が甘い対応だ。おまけに宿泊者はホストの行動パターンをある程度把握できる。「防犯レベルはかなり低い」というのが、2人の率直な感想だ。
宿泊者が直接手を下さないとしても、他人と連携すれば意外と簡単に違法な行動を起こせる可能性が高い。マンション全体で高度な防犯対策を施さなければ、犯罪の温床となり資産価値の低下につながる可能性もある。