日本郵政と傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険のグループ3社が東京証券取引所に上場して、4日で1年を迎える。1987年のNTT以来の大型案件として華々しいスタートを切ったが、日銀によるマイナス金利導入などを受け、株価は低迷。日本郵政の前社長が健康上の問題で退任し、予期せぬ経営刷新を余儀なくされたこともあり、上場企業としての成長戦略はまだ、本領を発揮できていない。長門正貢社長ら経営陣の手腕が試される。
昨年11月4日、3社の初値はいずれも上場前の公開価格を上回り、順調な滑り出しだった。しかし、その後の値動きはさえない。今月2日の終値を初値と比べると、下落率は日本郵政で約20%、ゆうちょ銀で約28%、かんぽ生命で約26%となっている。
株価が下がったのは、2月に導入されたマイナス金利が、ゆうちょ銀とかんぽ生命の収益環境を直撃したからだ。ゆうちょ銀の運用資産約205兆円のうち、実に約79兆円が国債だったこともあり、今年4~6月期の経常利益は前年同期から2割近く減った。
日本郵政グループも金利低下に手をこまねいていたわけではない。昨年6月には米証券大手ゴールドマン・サックス出身の佐護勝紀氏をゆうちょ銀副社長に迎え、外債や不動産投資信託(REIT)など、比較的リスクの高い資産に投資していく態勢を整えていた。